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序章

 深夜。大公宮の奥から女の喘ぎ声が聞こえる。
「はあっ、あはっ、んんっ……」
声の主は淫スパニア大公女・アリューネ。呪われたヴァンパイアの血を受けた、碧眼の美姫である。
彼女は一糸まとわぬ姿で、自らの身体を慰めていた。
ヴァンパイアの呪われた血により、彼女の成長は止まっている。初めて彼女に会った人は皆、彼女を10歳くらいの少女だと思い込むだろう。
だが、不老不死をもたらすヴァンパイアの血は、身体のすべての能力を活性化させる。性欲も、その例外ではない。いや、性欲はヴァンパイアの血によって活性化されるすべての要素の中で、最大のものであると言ってもいいほどだ。
彼女の場合、肉体の成長が止まったのは、彼女自身の肉体を、性的な行為に特化させるためと言ってもよかった。
アリューネの小さな下半身は、そのすべてが男を快楽の虜にするために造られたと言ってもいいような構造をしていた。それは自由に伸縮し、数多くの襞を持ち、挿入された男性の陰茎を大量の愛液と共にその性感を最も刺激するようになっていたのだ。
並の男なら一度の性交で理性を失い、ただ彼女の言うことを聞くだけの人形に成り果てる。
淫スパニア公国の元老院議員筆頭・ガイザルは彼女のこの肉体の秘密を利用し、周辺諸国の高級軍人・官僚をアリューネの虜として、小国淫スパニアの政治的な地位を保っていたのだ。
アリューネ自身は己のこの肉体上の特性を「恥ずべきもの」と考えてたいた。にも関わらず各国の大使たちにその身を委ねていたのは、それがひとえに「小さな祖国の独立を保つ」ためであると信じこんでいたためだった。
だが、度重なる男との交わりは、彼女の中に潜むヴァンパイアの淫性を呼び覚ます。
彼女と交わった男は精神を破壊されるほどの快楽を味わうが、同時に彼女もそれと同様、いやそれ以上の悦楽を味わっているのだ。
その快楽によって呼び覚まされた魔性が、さらに深い快楽を求めようと、アリューネの中で蠢く。
アリューネはそうしてはならない、と思い、自らの魔性を鎮めるために、たぎりたつ欲望を自らの手で鎮めようとしていたのだ。
今、彼女の小さな膣口には、三本の指が深々と突き刺されている。アリューネは指先をくいっと曲げ、自らの最も感じる部分を責め立てていた。
「ああっ、くはぁっ、んっ、んあっ……」
淫らな水音が響き、膣口から粘性の高い蜜がほとばしる。
「あはぁっ、んっ、んんっ、あっ、あんっ、い、イクぅっ……」
アリューネは背を仰け反らせ、身体をブルブルと震わせた。ぴゅっと小さな音がして、飛び出した愛液がシーツの上にシミを作った。
「おひい様……」
絶頂の余韻に浸るアリューネの背後から、侍女が声をかけた。
「お身体が熱を帯びて、仕方がないのですね……」
彼女はアリューネの答えを待たず、背後からアリューネを抱きしめた。
「お可哀想に……でも、一人でなさる必要はありません。わたしがおります。お身体が熱くなってしかたがない時は、わたくしの身体を好きにしていただいてよろしいのです」
そう言いながら侍女は、服の前を開き、ふくよかな胸を晒した。
アリューネはしばらく大きく目を見開いたまま、侍女の胸を見ていたが、やがて嬰児のようにその乳房にむしゃぶりついていった……。

第一章 変容

「最近な、姫様のご様子はどうだ」
大公宮の謁見室へと向かう廊下で、侍女は背後から呼び止められた。
「どうだ、と申しますと……」
侍女を背後から呼び止めたのは元老院議員筆頭のガイザルだった。好色そうな目付きで侍女の胸や腰をちらちらと見ながら、ガイザルは言葉を続けた。
「お前を可愛がる頻度が増えたのではないか、ということだ」
侍女は頬を赤らめ、片手で顔を覆った。
「ふむ……増えたのだな。ということは、そろそろ、時期か……」
侍女の答えも聞かず、ガイザルは満足そうな笑みを浮かべ、一人去っていった。

「あっ、ああっ、お、おひい様っ……」
その夜も、アリューネは侍女の身体を求めた。
侍女が寝所に入ると、すぐに飛びかかり、彼女の身体にすがりつくと唇をむさぼる。
同時に右手で侍女の服の前を開き、乳房に触れる。
驚くべき素早さで侍女の服をすべて脱がせると、乳房に吸いつく。いつの間にか、アリューネ自身も全裸になっていた。
「ああ……あっ」
乳首をアリューネの舌に転がされ、歯で軽く噛まれると、侍女は豊満な胸を波打たせながら喘ぎ声を漏らす。
アリューネは侍女の手を取り、自分の胸へと誘う。
「触って……強く!」
侍女は言われるままにアリューネの微かに隆起している胸に触れ、その先端にある突起を指でつまむと、力の限りつねった。
「ああっ、そ、そうっ、も、もっとぉっ」
強い刺激に、軽く達したアリューネが、目を半分閉じながら言う。
「おひい様、これではどうでしょう……」
侍女はアリューネの乳房に顔を移動させ、つねられて赤くなった乳首を咥える。そして前歯の間にしっかりと挟むと、力を入れて噛んだ。
「あっ、あーっ」
アリューネはまたもオーガズムに達し、白い臀部を震わせる。股間からは愛液がほとばしった。
「もっと、もっとぉ……ゆ、指で、指をわたしの中に……」
「は、はい……」
侍女はアリューネの股間に手を伸ばし、その幼く見える亀裂の中央に指を突き入れた。
「うぐぅ、あはぁっ」
指をアリューネの膣奥深くに入れ、関節の先を曲げて、ぐるぐると回す。
アリューネの秘部は、固いものの侵入を待ちわびていたかのように、複雑に蠢き、指を締め上げ、その表面のすべての神経を刺激しようとする。
(こ、これは……っ、ゆ、指先だけで、イッてしまいそうだわ……)
うねうねと絡みつくアリューネの襞の感触を指先に感じつつ、侍女は思った。が、その直後、ベッドの上で身体を侍女の反対方向に向けたアリューネが、侍女の性器にキスをしてきた。口先をすぼめて、強くクリトリスを吸ってくる。
「あっ、あーっ、おひい様ーっ」
舌先で包皮をめくり、すっかり充血して固くなった自分の肉芽をねぶられた侍女は、瞬時に達してしまった。アリューネ同様、彼女の秘裂もびゅっと愛液を噴き出す。
「んふ、くちゅっ、んんっ、ちゅぶっ」
アリューネは舌を伸ばし、侍女の膣内に侵入し、彼女の体内を舐め回す。侍女は終わらない絶頂の責め苦に耐えつつ、アリューネの中に指三本を入れ、引きちぎられそうな吸引力に逆らいつつ、その中をかき回した。
「あんんっ、ああーっ」
「んはぁあっ、あんっー」
二人は同時に、絶頂に達している状態から、さらに激しい絶頂を感じた。神経全部を焼ききるような強烈な刺激に、ヴァンバイアとしての強靭な肉体と精神を持っているはずの侍女が失神してしまった。
「はあ、はっ、あはぁ、んは……」
侍女が気を失って、ベッドの上に人形のように倒れてしまってからも、アリューネは彼女の上に乗り、その身体を舐めまわし、性器に指を入れてかき回していた。が、やがて相手が何の反応も見せないと見るや、侍女に背を向けて自慰を始めた。
「んはぁ、あっ、あうっ、あううっ」
しとやかで気品と叡智に溢れていたアリューネの蒼い瞳に、今理性の光は点っていない。彼女は今はただオーガズムを求めるだけの欲望の塊と化して、自らの胸と性器を刺激し続けていた。窓から差し込む月の光に照らされた彼女の身体は、しなやかな野生の獣のように見えた。
「ああんっ、くはぁ、あくっ、イクっ……」
幾度達しても、尽きることなく身体の奥から湧きでてくる欲望。
その欲望が、アリューネの肉体に変化を及ぼしてきていた。
かすかな隆起に過ぎなかった彼女の乳房が、徐々に膨らみを増していく。
その先端にあった、えんどう豆のような小さく丸い乳首も、太く、丸みを帯びた円筒形へと。
腰部が膨らみを増す。四肢も、はっきりと分かるほど伸びていた。
「あはぁっ、イクっ」
全身を痙攣させつつ、オーガズムを感じるその姿は、12歳ぐらいに見えた。
「ああんっーっ」
次に達した時には、14歳の少女に。アリューネの股間の上部が、金色の繊細な毛で覆われる。
「あはぁーっ、あーっ」
秘部から高く愛液を噴出させたその姿は、16歳の少女だった。
いつしかアリューネは、自分の乳房を自分で掴み、その先端を舌でちろちろと舐め回すようになっていた。
「ああああっ、ま、まだぁああっ」
アリューネはベッド脇の机の上に置いてあった、護身用の短剣を手に取ると、その柄の部分を自分の膣内に突き入れた。そのまま、激しく前後に動かす。柄から鞘に、アリューネの愛液がねっとりと絡みつく。
「んはぁああっ、あっ、あああーっ」
数知れぬ程のオーガズムを味わった後に、ついにアリューネは力尽きて気を失った。ベッドの上に倒れ伏すその姿は、侍女と同じ20歳前後に見えた。

 

第二章 饗宴

「ほう、20歳ぐらいの外見にな」
翌朝、髪を振り乱して大公宮の自室に飛び込んできた侍女を見て、ガイザルはにやりと笑った。
侍女は半裸、というかほぼ裸と言っていいような状態だったが、ガイザルの視線に気づくと身にひっかけたままだった服のあちこちを引っ張り、女として羞恥心を感じる部分を隠そうとした。
「外見だけでなく、性格も別人です。気づくとわたしに襲いかかってきました」
「だが、そなたは昨夜まで毎夜アリューネ様と交わっていたのだろう? 今朝身体を求められたとしても、特に変だとは言えないではないか」
「『いつものように身体を求めてきた』のではありません。『襲ってきた』のです。あのままではわたし、最後にはおひい様に腹を割かれ、内蔵を食われてしまったかも知れません。それだけじゃなく……」
侍女はそこまで言って、はっとした表情を浮かべ、赤面して黙り込んだ。
「それだけじゃなく、何だ?」
ガイザルはにやにやと笑いながら侍女に問う。侍女はしばらく下を向いて黙っていたが、やがて口を開いた。
「……抱かれた時の快楽が、これまでよりもずっと強いものだったのです。わたしでも、一度で失神してしまうほどの……」
「わたしでも?」
ガイザルに言葉尻を捉えられた侍女は、しまったと思った。ガイザルはおひい様がヴァンパイアであることは知っているが、この自分までもがヴァンパイアであることは知らないはずだ。
「いえ、長い間お仕えして何度もこの身を捧げているわたしでも、という意味です」
「ふむ。そなたでも、か……」
ガイザルは椅子からゆっくりと立ち上がった。
「まあ、古文書に書いてあった通りだ。ヴァンパイア……特に血の濃いヴァンパイアは、周期的にああいう状態になるのだそうだ」
「……」
「姫様は今、どうしておる?」
「その場にあった短剣の柄で胸の間を突き、失神させました。今はご寝所のご自分のベッドの上でお眠りになっています」
「主君の胸を短剣で突いた?」
「あ、いえ……あ、あのままでは殺されてしまう、と思ったものですから、夢中で……処罰を与える、というのなら甘んじて受けますが……」
瞬時、ガイザルの脳裏には、このことを口実にこの美しい侍女を犯してくれようか、という悪謀が浮かんだが、すぐにそれを脳裏から消し去った。うかうかしていると、アリューネが目覚めてしまう。のんびりと侍女を犯している暇はない。それに、こいつならまたいつでも別の口実を構えて、その肉体を愉しむことができるだろうさ。
「主君がいつもの主君ではないのだから、いつも通りの忠誠を捧げることは難しかろう。そなたの罪は問わぬ。下がれ」
侍女は一礼をして、部屋を出た。

 ガイザルは数人の衛兵を伴って、アリューネの寝所に入った。
アリューネは服を着せられ、きちんとベッドの中央に寝かせられていた。あれから侍女がここに戻ってきて、主人の身なりを整えたのだろう。服がちょっと質素なのは、サイズが合わなくなった元々のアリューネの服ではなく、自分の服を着せたためだと思われる。
シーツの類もすっかり替えられていた。だが、部屋の中には女性の体液特有の匂いが、微かに残っていた。
「おい」
ガイザルは背後の衛兵に顎で指図した。じゃらり、という音が聞こえた。衛兵はその手に鎖を持っていたが、ガイザルに促されても前へ出ようとはしない。
「早くせんか」
「し、しかし……ひ、姫様を鎖で縛めて、よろしいものなのでしょうか……」
「わしが許す。今は非常時だ。縛らないと恐ろしいことになるぞ。縛れ」
衛兵は青ざめた表情のままで、ガイザルの前に出、持っていた鎖でアリューネの手足を縛った。
「しっかりと縛れ。途中でお目覚めになると、危険な目に遭うのは貴様らだぞ」
今はもうガイザルの言うがままになっていた兵士たちだが、目を見合わせて「この人は何を言っているんだ」という表情をした。
(ふん、こいつらは姫がヴァンパイアだということを知らんのだな。なら、無理もない。奴らにとっては姫は見た通りの非力そうな娘に過ぎん)
ガイザルはそんなことを思いつつ、衛兵たちをせきたてて、アリューネの身体を地下室に運んだ。大公宮の地下室……つまり、牢獄である。

 水が石を打つ音を聞いて、アリューネは目覚めた。黴臭い、湿った空気が鼻から胸に入ってくる。
「ここは……」
身を起こそうとした。が、じゃらりという音がして、それは果たされなかった。
「地下の……牢……?」
300年の生涯の半分近くを過ごした城である。どこにどういう部屋があるのかは熟知していた。が、彼女の思考は「どうして自分がここにいるのか」と考える以前に、別の方向に飛んだ。
「……!」
同じ牢の、自分のいるのとは反対側の暗がりに、何かがいる。目では見えない。だが、アリューネは気配だけでそれが何ものかを知った。
男だ。それも若い……全部で、10人。
目覚めてからほんの数瞬にそれだけの事を頭の中に巡らせると、アリューネは立ち上がった。鎖がアリューネの行動を妨げようとしたが、彼女が鎖を一瞥すると、それは朽ち果てたかのように消え去った。ヴァンパイアの気をまともに受けたら、金属といえどもただでは済まない。耐え切れるのは銀か、黄金か、卑金属から金を創りだすと言われる賢者の石か、聖遺物だけであろう。
アリューネは全身から気を発した。侍女がその身体にまとわせていた服がこれまた溶けるように消えた。暗い牢の中に、白い裸身が蒼い光に包まれて浮かび上がった。
目覚めた瞬間、ほんのわずかだけ戻っていた人の理性は、また吹き飛んでいた。
獣と化した彼女は、音を立てずに跳躍し、闇の中に身を躍らせた。
着地した先に、少年たちがいた。
彼らは、この日があることをあらかじめ知っていたガイザルが集めたものたちだった。親を失った子、戦争で家族と生き別れたもの、疫病を逃れ、故郷を捨ててさすらっていたもの……身元不明の人間を集めるのは、この時代さして難しいことではない。もう一つの「若く美しく健康である」という条件を満たす方が、よほど困難だった。
アリューネは全体を一瞥する。青年たちは蛇に睨まれたカエルのように、その場から動けなくなった。彼らは粗末な衣服、というより申し訳程度の布切れを身体に巻きつけているが、アリューネに睨まれるとそれらは春の淡雪のように消えてしまった。
アリューネはまた、跳んだ。
そのまま静かに、全裸になった青年たちが固まっている中心に、両手を拡げた格好で着地する。三人の青年が、同時に抱きすくめられた。
「んっ、んんっ」
アリューネは右手に力を込め、そちらにいた青年の顔を自分の顔に近づけると、その唇を思い切り吸った。左手の方にいた青年も抱き寄せられ、真ん中にいた青年の顔には、アリューネの胸が押し付けられた。
「んはっ、はぁっ……」
アリューネは左右の青年に交互に口づけし、舌を挿し込んでその唾液を思う様吸った。同時に胸を左右に振り、中央の青年の鼻や唇に乳首が当たるようにした。
「ああっ、んは……」
アリューネの赤い舌が、青年の首筋を伝う。それはやがて、青年の乳首へと移動した。
「はあっ、んっ、んんっ」
舌全体を当て、中央のざらざらした部分をおろし金のようにして、全体を擦る。舌先を伸ばし、ちろちろと小さな乳首の麓を舐める。吸う。
「あっ、ああ……」
怯えていた青年の表情が、徐々に変化してきた。アリューネは手を青年の股間に回した。そこはすでに固く屹立していた。
アリューネは真ん中にいた青年に口づけをした。両側の青年にしたのと同じように舌を挿し込んで唾液を注ぎ入れ、長い時間をかけて口中を舐め回す。唾液の糸を引かせつつ唇が離れた時には、青年は得も言われぬ快感に包まれた表情になった。その表情を確かめ、アリューネが目に軽く唇を当てると、青年はアリューネの乳房に吸いつき、全体を舐め始めた。
「んはぁっ、はあっ……」
右の青年のペニスを扱きつつ、中央の青年に乳房を吸わせ、左の青年にキスをする。キスをされた左の青年は、その身体をアリューネの下半身に滑らせていき、アリューネの性器に口を押し当てた。
青年たちはすべて童貞である。それでなくても写真などが存在せず、なおかつ快楽だけを求めるセックスが教会によって禁じられていたこの時代、彼らが女性器の詳しい構造などを知るはずはなかった。
だが、アリューネの股間に顔を押し付けた青年は、蜜を溢れさせているアリューネの秘裂の最上部を強く吸い、舌を伸ばしてその根本から執拗に舐め始めた。そこがアリューネにひときわ強い快感をもたらすことを知っていたかのように。
「ああっ、も、もっと、もっとぉ……」
アリューネは自ら腰を動かし、性器のさまざまな箇所に青年の舌が当たるようにする。そして右の青年のペニスから手を離し、別の青年の胸に手を伸ばした。ペニスから手を離された青年は、アリューネの臀部に顔を移し、白い尻を舐め始めた。太ももの上部の膨らんだ部分を舐めていたその舌は、やがて臀部の中央を開き、その中にある菊門をねぶり始める。
「んんっ、あはっ、はぁっ……」
アリューネは四人目に口づけし、五人目のペニスをしごき始める。
「ああんっ、あはっ、ほ、欲しい、欲しいの、中にっ」
興奮の度を高めたアリューネがこう叫ぶと、クンニリングスをしていた青年が立ち上がり、その身を地下牢の床の上に横たえた。アリューネはその上に馬乗りになった。
「あんっ、い、挿入れてっ」
青年の腰の上にまたがったまま、腰を落とす。驚くほどスムーズに、青年のペニスはアリューネの膣内に飲み込まれていった。アリューネの背後には二人の青年が回り、尻を舐め、背後から乳房を揉んだ。アリューネの前には三人がいて、一人は背後の青年の指の間から溢れる乳房を舐め、吸う。もう一人はアリューネにペニスをしごかれ、最後の一人はペニスをアリューネに咥えられ、舌でねぶられていた。

「んっ、はっ、ああっ、んはぁっ」
アリューネは激しく腰を振る。挿入している青年のペニスの幹を、ぬらぬらと白い液体が伝う。
「ああっ、はっ、ああああっ」
これまで人形のように無表情で、最低限の動きしかしなかった青年は、アリューネの膣内に挿入した直後から、びくんびくんと激しく身体を牢の床の上で跳ねさせるようになっていた。
挿入した瞬間から押し寄せた凄まじい快感は、すでに彼の神経を焼き切っていた。つまり、ある意味彼はすでに死んでいるのだ。
ただ肉体はまだ動いており、アリューネの膣から伝えられる刺激により、自動的に射精に向かっての準備が整えられていたに過ぎない。
「うぉおおおおおっ」
やがて青年の喉からうめき声のような音が漏れた。声だったのかどうかはわからない。同時に青年の身体は海老のように跳ねた。
「ああああああっ、イクぅっ」
アリューネも達し、その膣が青年のペニスをぎゅうっと締め付ける。死んだ青年のペニスから、大量の精液がアリューネの膣内に送り込まれる。
「びくっ、びくっ、びくっ」
青年の身体は何度も跳ねた。着地する度にがんがんと頭が床にに叩きつけられる。ぽかんと開いた口から鮮血が吹き出した。叩かれたショックで舌を噛み切ったらしい。やがて青年は動かなくなった。アリューネが立ち上がる。その股間からどろどろと青年が放出した精液が流れでてきた。
アリューネは別の青年に抱きつき、その身体をぐいと引っ張ると、床に倒れこんだ。彼女の両脚が青年の腰に絡みつき、着地した時には青年のペニスはアリューネの膣内に挿入されていた。アリューネは別の青年のペニスをしゃぶりつつ、下から腰を突き上げる。
「はっ、はぁっ、ああっ、んはぁっ」
「ああっ、あぐぅっ、ああっ」
今度の青年は、先の青年よりも精神力が強かったのか、挿入後すぐに死に至る、ということはなかった。だが、アリューネが数回腰を突き上げると、白目を剥いて口を大きく開けた状態になった。彼の手はアリューネの胸をまさぐり、彼の腰は上下に動いてアリューネを貫き続けていたが、彼の心に理性が残っていたかどうかはわからない。
「あっ、はぁっ、い、いいっ、い、イク、イクぅっ」
アリューネは頬を薄赤く染め、グラインドさせつつ腰を突き上げる。彼女の膣は青年のペニスをしっかりと包みこみ、その全体にこの世のものとは思えない快楽を味合わせる。
「んはあっ、イクぅーーーっ」
「うぐぁあっ」
アリューネが歓喜の叫びをあげるとともに、青年は断末魔の悲鳴とも法悦の雄叫びともつかない声を上げ、背後に身体を仰け反らせた。同時にペニスが外れ、凄まじい勢いで精液がアリューネの下腹部から胸に向かって飛ぶ。
「どくっ、どくっ、どくっ……」
倒れた青年は、断続的に射精を続け、アリューネの白い身体と、牢獄の冷たい黒い床に、生暖かい精液をぶちまけた。
「ああんっ、まだ、まだよっ、まだなのっ」
二人の青年が屍体となって転がっても、アリューネの欲望はまだ満たされなかった。次は二人の青年に、同時に膣と肛門を攻めさせる。
「あんあっ、んあっ、な、膣内でこすれるぅっ」
喘ぎつつ別の青年を呼び寄せ、そのペニスをしゃぶる。
「あんんっ、イクっ、またイクのぉーっ」
アリューネは三人の青年とともに達する。直後に三人ともにペニスから精液を、口からは血を吐きつつ地下牢の床に転がる。快感のあまりの強さに心臓が破壊されたらしい。
それでも、アリューネの欲望の火は消えることがない。
彼女はさらに青年たちに襲い掛かり、そのペニスをしゃぶり、自分の乳房や尻を刺激させた後、馬乗りになって腰を振り続けた。
青年たちはすでに自分の仲間たちが、行為を終える同時にものを言わぬ屍体と化しているのを見ているはずだが、それでもアリューネに乞われると彼女に近づいていき、彼女に奉仕した後に交わりを結んだ。
死と引き換えにしてもなお悔いが残らない程、アリューネとの交わりで得られる快感が大きい、と思ったからか。
それとも最初にアリューネに睨まれた時に理性がすべて消え果ててしまい、その後はただアリューネの言う事を聞く人形になってしまったからか。
どちらなのかはわからない。いや、そのどちらでもだろう。
どの青年も、単なる人形になったとは思えないほど、大量の精液を放出して息絶えている。その死に顔は目を剥いたり、口を大きく開けすぎて顎を外していたり、思い切り頭を床に叩きつけて割っていたりと、酷いものばかりだったが、よく見ればこの上なく安らかで幸福に包まれたものと見えなくもなかった。
「ああーっ、イク、イクぅううううっ」
闇の中に、アリューネの達する叫びが響く。どさりという重い音がしたその直後に、何かが石の上に落ちる、軽い音がした。
淫魔と化したアリューネも、幾度となく絶頂を重ねたため、気を失ったらしい。

 

第三章 少年

「ここは……」
再び目覚めたアリューネは、しばしの沈黙の後に、ここが城の地下牢であることに気が付いた。それと同時に、目覚めた時から鼻をくすぐる異臭が、血の匂いであるということも。

「なぜ……」
周囲には数多くの死体が転がっていた。すべて全裸である。アリューネは、自分も裸であり、しかも大量の精液と自分自身の愛液にまみれている、ということを知った。どう考えても、彼女自身が彼らすべてと交わったのだとしか思えない。激しく交わり過ぎ、彼らから精力を絞りとって、死に至らしめたのであろう。
「あ……あ……」
行為をしていた時の記憶はない。だが、この状況を見て他の理由を考えることができるだろうか。アリューネ自身、自分の身体が人間よりも遙かに強い性欲に襲われる、ということを知っている。普段は理性で抑えきれている……と思ってはいるが、その理性のたがが外れると、容易にこういうことになってしまうだろうと、リアルに想像することもできた。
「おお……神よ……」
アリューネは冷たい石の床の上に膝まづいて祈りを捧げた。彼女はヴァンパイアではあるが、人並な信仰心を持っている。ヴァンパイアと教会が敵対する存在である、というのは世間で造られたお話に過ぎない。事実、彼女は十字架を押し付けられても身体に何の変調もきたさない。が、この時、彼女は違和感を感じた。彼女の神への信仰ではなく、彼女自身の肉体についてである。
「これは……」
祈りを捧げた両手が、何かに触れた。同時に、胸の部分が何かに触れたように感じた。つまり、自分の手が自分の胸に当たったのだ。だが、「普段の彼女」の場合、両手を組んでも胸に手が当たらないはずであった。アリューネは慌てて、自分の胸に触れてみた。
「え……」
確かに、隆起している。侍女と同じぐらい、いやそれよりはやや小さいぐらいか。彼女は自分の腰にも手を回してみた。胸と同じように臀部が膨らんでいる。また、性器の上部にはあわあわとしたものが生い茂っていた。
「身体が、成長した……?」
正確に言うと、この時の彼女の肉体は、淫魔と化した時から元の肉体に戻り始めていた。第三者が今の彼女を見たら、こう言うだろう「16歳ぐらいに見える」と。
ただし、彼女が淫魔と化した時の記憶を失っている以上、今の姿を「成長した」と感じるのは無理のないことである。
「……」
あまりに衝撃的なことが起こりすぎて、頭の中で整理がつけられなくなった彼女は、無言でその場に立っていた。と、その背後で、何かが動いた。
「誰……?」
それは確かに人の気配だ、と思ったアリューネは、振り向いて走った。青年たちの屍体の下から伸びた手が、もがくように、何かをつかもうとしているように動いている。アリューネはその手を掴み、引っ張った。屍体の下から、一人の少年が掘り出されるようにして出てきた。
「あなた……」
恐らくこの人身御供たちの生き残りだろう。アリューネはそう思った。年は……17・8歳と言ったところか。
「あ、ありがとうございます」
少年はアリューネに礼を言った。
「いきなり、怖い人達に捕まって……この地下室に入れられたんです。何が起こるかと震えていたら、化け物が牢に入ってきて……覚えているのは、それだけす。気がついたら、みんな死んでて、僕はその下敷きになってた」
「化け物……」
「あれは、多分ドラゴンだと思います。だって口から何か毒の息のようなものを吐いたから。それを浴びて僕、気を失ったんです」
少年はヴァンパイアの気のことを「ドラゴンの息」だと感じたのだろう。世にヴァンパイアの元祖として有名なワラキア公ヴラド3世、俗称ドラキュラの「ドラキュラ」は元はといえば「小さなドラゴン」の意味である。アリューネはそんなことを考えながら少年を見つめた。
「あ、震えている……寒いの?」
「え、ええ……とても……」
少年は歯をがちがちと言わせ始めた。顔もすっかり青ざめている。
「いけないわ……そう、このままではあなた、城の兵士にまた捕まって酷い目に遭いそうだから、今のうちにわたしと逃げましょう。かくまってあげます」
人身御供に生き残りがいた、ということを知れば、ガイザルは必ず口封じのためにこの少年の命を断つだろう。それぐらいのことは平気でする。その前に救わなければ。
城の地下牢は、城そのものが陥落した際に、前城主が閉じ込められる可能性が極めて高い。だからこの城の場合、そうなった時に備え、城主だけが知っている脱出口というのが設けてあった。それを使えば、城壁の外の小さな水車小屋に出られる。
「さ、こっちよ」
アリューネは少年の手を取って、脱出路の方へ歩き始めた。
「ぼ、僕、アビスと申します」
いきなり少年が自分の名を名乗ったので、アリューネはきょとんとした。
「どうして今、名前を?」
それはいつかは名を名乗らなければならない時が来るだろう。だが、どうして今?
「そ、それは……貴婦人に手を取られた時には、自分の名を名乗らなければならないって、母さんに聞いたから……」
「まあ」
アリューネは微笑し、さらに強くアビスの手を握った。

 ほどなく、二人は水車小屋についた。外は夜。アリューネは、水車小屋の扉をそっと開け、外を窺った。小川のせせらぎだけが聞こえる。
「誰もいないわね」
そう言うと彼女は手招きをし、アビスを外に出した。
「水浴びをしましょう」
二人ともに精液と血にまみれていた。緊張がほぐれてアリューネは徐々にそれが不快になってきていたし、他の男の精液にまみれ、股間から愛液を垂れ流している自分の姿を、これ以上アビスに見られたくなかった。もっとも、地下牢の暗闇の中では、アビスの目は何も見ることはできなかったろうが。
外には月が出ていた。アリューネは先に小川に飛び込み、股間を洗った。膣内に溜まっていた男の精液と、自分の愛液を洗い流してしまうと、自分が少しだけ清浄な存在になったような気がした。
アリューネは一緒に水を浴びよう、と誘ったのだが、アビスは後ろを向いたままその場に立ち尽くしており、アリューネの裸身を見ようとはしなかった。そこでアリューネは、「じゃあ、先に中に戻っているから」と言って、水車小屋に戻った。小屋の扉を閉めてから、そっと窓から外を見ると、アビスが小川に入っていく姿が見えた。
「……綺麗」
アリューネは思わずそう言った。白い肌。引き締まった臀部、しなやかな四肢。まるで彫刻のような肉体をしていた。アビスはずっと小屋に背を向けたままだったが、アリューネは彼のペニスを見ようと、思わず身を乗り出しかけたが、同時にそれがいかに恥知らずな行為であるかを思い出し、頬を赤く染めた。
「い、いけないわ、そんなこと……」
とは言っても、小屋の中には積まれた藁しかない。落城後の手はずについては侍女とよく打ち合わせをしてあり、明日の朝窓に藁束を三つかけておけば、彼女が気づいて来てくれることになっている。だが、今夜は裸で過ごすしかない。
「あの、彼と……」
アリューネは自分の頬を両手で押さえた。頬は熱を持っている。心臓は高鳴っている。
やがてアビスは戻ってきた。アリューネは藁の中に潜り込んで、彼を出迎えた。裸を晒したままだと、彼はまた外に出ていってしまうかもしれない、と思ったからだ。
「明日には迎えが来てくれるわ。だから安心して眠って」
アビスは頷いて、藁の中に潜り込んだ。アリューネと距離を置いて。
やがてアビスの眠っているあたりから、静かな寝息が聞こえてきた。
アリューネは、そっと藁の中から這い出ると、アビスの側に行った。
そのまま、藁の中に潜り込む。
アビスの身体に触れた。
固く、ひきしまった筋肉の感触が、指に伝わってくる。ただ、冷えている。ヴァンパイアの瘴気を浴びた後遺症が、まだ残っているのだろう。
「温めてあげないと」
アリューネは誰に言うともなくそうつぶやくと、自分の裸身をアビスに密着させた。自分の顔をアビスの胸に埋めるようにして、目を閉じる。
今の彼女には、淫欲はほとんど残っていなかった。アリューネは、肉欲を解消する対象としてではなく、好ましい一人の人間として、アビスを見ていた。
とはいえ、アリューネは完全に木石のような、感情のない人間になってしまったわけではない。アビスに対して肉欲を完全に感じていないか、というと、否と答える自信はない。
ただ、暴力的に今すぐその肉体を貪ろう、とは考えないというだけだ。
「いつか、この人がわたしを愛するようになって、そしてわたしを求めてくれるようになれば……」
アリューネの望みは、言うなれば彼女の外見とほぼ同じ年頃の少女が抱くようなものと同じだった。
「ただ……」
アリューネは目を閉じつつ、思う。
「いつかわたしは、また自分の欲望を抑えきれず、淫魔と化してしまうかも知れない……」
これまで通り、ガイザルの言うがままに各国の大使・将軍にその身を捧げていれば、また淫魔になってしまうことだろう。肉の快楽だけを求めようとする男たちの歪んだ欲望が、アリューネの胎内に業として積み重ねられ、彼女はああなってしまうのだ。
「でも、そうはならない。この人のために……」
どうして「この人のために」と思うようになったのかは、自分でもよくわからない。だが、この少年は自分を変えてくれる。アリューネは、そのことだけは確信していた。

 

 

 

煉獄のバラード

消え去るわたし
はかない理性が
垂れ流されてゆく今
赤に染まる肉

Ah夢なのか
心の闇うらはら
燃え上がる欲望の焔
ぜんぶ灰にと願う

許して
もう許してよ
誰にも言えない

この犠牲の上に成り立つ幸せがある

頬をつたう涙は
絶望なの?
歓喜なの?

揺れるカラダが意識を殺して…

(歌唱 ハズレ様)

 

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